前回に引き続き、役員又は従業員(以下「従業員等」といいます。)に対する現物給与について、その他の項目を確認致します。
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2.個々の現物給与に対する取扱い
⑪ 生命保険料等の負担
(1)事業者(法人又は個人事業主)契約の生命保険契約等
事業者を契約者とし、従業員等を被保険者とする生命保険契約に加入した場合には、下記保険契約の保険料等については、給与として課税されません。
ⅰ 養老保険
死亡保険金及び満期保険金の受取人が事業者である場合、又は死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、満期保険金の受取人が事業者である場合。ただし、特定の従業員等のみを対象とした保険契約の場合は給与課税されます。
ⅱ 定期保険
死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、かつ、特定の従業員等のみを対象とした保険契約以外のもの。
(2)使用人契約の保険契約等
従業員等が支払うべき下記のような保険料を事業者が負担した場合には、その金額は給与課税されます。
- 従業員等が契約した生命保険契約等又は損害保険契約等に基づく保険料
- 社会保険料
- 小規模企業共済等掛金
⑫ 従業員等の行為に基因する損害賠償金等の負担
事業者が従業員等の行為に基因する損害賠償金や慰謝料、示談金などの費用を負担した場合において、その行為が事業者の事業の遂行に関連するものであり、その者に故意や重過失が無い場合には、給与課税されません。
⑬ ゴルフクラブ等の入会金の負担
(1)法人会員として入会した場合
記名式の法人会員で名義人である特定の従業員等が専ら法人の業務に関係なく利用し、その者が自ら負担すべきものと認められるときは、給与として課税されます。
(2)個人会員として入会した場合
原則として、給与課税されます。ただし、無記名式の法人会員制度がないため従業員等を個人会員として入会させた場合において、その入会が業務遂行上必要であると認められ、かつ、その入会金を事業者の資産として計上したときは、課税されません。
⑭ 住宅等の貸与
(1)従業員に対する社宅や寮等の貸与
事業者が、従業員に対して無償又は低額の賃貸料で社宅や寮等を貸与した場合には、下記算式による賃貸料相当額と実際徴収している賃貸料との差額が、給与として課税されます。ただし、その徴収している賃貸料が下記算式による賃貸料相当額の50%以上である場合には、課税されません。
月額賃料相当額=家屋の固定資産税課税標準額×0.2%+12円×総床面積(坪)+敷地の固定資産税課税標準額×0.22%
(2)役員に対する社宅等の貸与
事業者が、役員に対して無償又は低額の賃貸料で社宅等を貸与した場合には、次のように取り扱われます。
ⅰ 事業者所有の社宅等を貸与している場合
下記算式による賃貸料相当額と実際徴収している賃貸料との差額は、給与として課税されます。
月額賃貸料相当額={家屋の固定資産税課税標準額×12%(木造以外は10%)+敷地の固定資産税評価額×6%}×1/12
ⅱ 他から借り受けた住宅等を貸与している場合
事業者が他から借り受けた住宅等を社宅として役員に貸与している場合には、その事業者が支払う賃借料の50%相当額と上記ⅰの賃貸料相当額のうち、いずれか多い金額がその社宅等の賃貸料相当額とされ、実際徴収している賃貸料との差額は、給与として課税されます。
ⅲ 貸与している社宅等が小規模住宅である場合
役員に貸与している社宅等の床面積が132㎡(木造以外は99㎡)以下である場合には、上記にかかわらず、(1)の算式による金額を賃貸料相当額とします。
ⅳ 豪華役員社宅の場合
役員に貸与している住宅等が一般に貸与されている住宅等と認められない、いわゆる豪華役員社宅である場合(床面積240㎡超でその取得価額や内外装等を総合的に勘案し判定)には、上記によらず、通常支払うべき賃貸料と実際徴収している賃貸料との差額が、給与として課税されます。
以上、実務上必要と思われる項目につき列挙致しましたので、利用できそうなものがございましたらご検討頂ければ幸いです。