株価を算定する際には、類似業種比準価額と純資産価額の2種類の価額を利用します。これらの計算方法を紐解くことで、株価を引き下げることが可能となります。
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【類似業種比準価額】
自社の直前期決算に係る下記3要素の数値と国税庁より公表される類似業種の上場会社に係る同3要素との比較により、同上場会社の株価を基に自社株式の評価額を算定します。
- 配当金額
- 年利益金額
- 純資産価額
したがって、自社のこれら3要素の引き下げに伴い、類似業種比準価額は低下することになります。
【純資産価額】
相続税評価額による時価純資産価額をいいます。
この価額を引き下げるためには、大きな損失を計上し、または不動産・有価証券の時価を引き下げる必要があります。
1.景気動向による株価引き下げ
株式の移転を特に急ぐ必要が無い場合には、その時の景気動向に気を付け、不景気となった際には株価は下がりますので、そのタイミングで移転すればよいでしょう。
例えば、不景気時には上場会社の株価は下がりますので、それに連動した自社株式の類似業種比準価額も併せて下がることになります。また、純資産価額を構成する不動産や有価証券も時価が下がる傾向にありますので、同じく引き下げられます。
ここで注意が必要なのは、どのタイミングで株式の移転を実行するかということです。将来のことはわかりませんので、今が良いのか、あるいは将来もっと株価が下がると予想するかの判断が必要となります。結果的に株価がさらに下がるかもしれませんし、逆に上昇に転じる可能性もありますが、ご自身がベストと思えるタイミングで実行すべきだと思います。
2.積極的に株価を引き下げる場合
将来の景気動向を待てない場合には、積極的に株価を下げる方向へ向かう必要があります。例えば、経営者の引退に伴って株式を移転するのであれば、経営者へ退職金支給し利益を圧縮します。それにより、類似業種比準価額を構成する年利益金額は下がりますし、純資産価額も退職金に係るキャッシュアウトにより引き下げられます。
また、配当金を支払っている場合には、それを取りやめることで類似業種比準価額は下がることになります。
これらのように、人為的に株価上昇要因を特定し、それを抑えることにより、株価を引き下げることができますので、株式の移転をお考えの際には検討する必要があります。